アイガモ農法とは

アイガモと稲と人の共存!平成6年春、農薬・化学肥料を使わない健康的な米づくりを実践してみようと、アイガモ農法を始めました。市内の仲間3人で「佐倉市アイガモ農法研究会」を結成し、生活者の「糧」をつくる生産者として、ただお米をつくるだけでなく、本物の食糧と本当の心の豊かさを探し始めたのです。その結果、まず健康なお米・アイガモ有機米ができました。

アイガモ農法とは?

アイガモ(家禽のアヒルとマガモを交配して生まれた鳥)を水田に放して、無農薬で安全な米と鴨肉を同時に育てようというのが「アイガモ農法」です。アイガモの稲に対する多面的な効果を得ながら、飼育と稲作を同時に行うことから、「アイガモ水稲同時作」とも言われています。みなさん、ほとんど同じような方法でやられているようですが、当方では、次のようにしてアイガモ農法を行っています。

1.<事前の準備>

  •  生まれたての雛を買ってきます。
  • カラスにやられるのを避けるため、1ヶ月ほど小屋の中で飼います。
  •  田んぼに放す前にしっかりと水浴びをさせます。これをしないと、羽に油がのらず、田んぼに入ったときに羽がぬれてうまく泳げません。
  •  田んぼの周りに、アイガモが逃げないようにネットをはります。

2.<アイガモ放鳥>

  • 10アールに10羽ほどアイガモを放します。
  • 害獣(野良犬、タヌキ、ハクビシン)よけのために、ネットの外側を電柵で囲います。
  • カラスなどの鳥よけのために、あぜ道に竹棒をさし、紐をはります。
  • 小屋から出され、新しい田んぼの環境にしばらくはとまどっていますが、そのうち慣れてきます。

3.<田んぼでは・・・(アイガモの効果)>

  • アイガモは雑食なので、雑草や虫、なんでも食べます。
  • 雑草が大好物なので、その旺盛な食欲により、除草剤が要りません。(食べるものがなくなれば、稲も食べてしまいますが、通常はざらざらした稲を口にしようとはしません)
  • 虫も食べてくれるので、害虫防除用の殺虫剤は不要です。
  • アイガモの糞は、肥料になります。
  • アイガモは泳ぎながらくちばしや足で水田の泥水をかき回します。これにより、水田内に酸素を補給して、稲の根を丈夫にすると言われています。また、濁りにより光合成をさまたげ、雑草の芽がでるのを抑えるとも言われています。
  • 稲の株元をくちばしでよくつつくため、株張りがよくなるなど、中耕の役割をします。
    ※ヒナはこうして、雑草や虫、エサのくず米を食べ、約3ヶ月で大人のアイガモ(成鳥)になります。

4.<お仕事の後は・・・>

  • アイガモは稲の穂を食べてしまうので、穂が出たあとは、田んぼの中の一画に集め、そこで冬まで飼育します。

アイガモ農法の意義とは・・・

私たちの田んぼでは、米ヌカをまくなどして有機質を入れ、土作りをしているため、化学肥料も一切使っていません。また、 田んぼの中の食べ物だけでは栄養不足になるため、くず米などの餌を一日一回与えています。田んぼと稲とアイガモ、そして投入するのは米ヌカや餌のくず米のみです。まさに、資源循環型農業と言えます。また、農薬や化学肥料による環境負荷がなく、多くの生物が共存する多様な生態系を復元・維持でき、それが米作りに相乗効果を生むとも言われています。

とはいえ、残念ながら「アイガモ農法」は、人にも環境にも優しい農業ではありますが、手間とコストがかかり、大面積の栽培には向かないといったのが現状です。ただ、うまく説明できませんが、「アイガモ農法」の意義はそれだけではないように思います。なんと言いましょうか、この農法は、私たちの気持ちを穏やかにしてくれます。アイガモと稲と人の共存、かつて農村にあった暮らしがここに再現され、現代社会の生活に慣れきってしまった私たちに、何かを教えてくれているような、そんな気がします。
アイガモ有機米は、とことんこだわった極上の有機栽培米です。ぜひ一度、ご賞味いただければと思います。また、アイガモの田んぼにも、ぜひお出で下さい。